第2回:AWS構築の基盤~AWSエコシステムと主要サービスカテゴリ入門~

はじめに:AWSの広大なサービス群を理解する重要性

前回の第1回「AWS構築とは何か?」では、アマゾンウェブサービス(AWS)を利用したシステム構築の定義、範囲、主な利点、そして潜在的な課題について概観しました。AWSが提供する柔軟性、スケーラビリティ、コスト効率といった数々のメリットは、現代のビジネスにおいて競争優位性を確立するための強力な武器となることをご理解いただけたかと思います。

しかし、AWSの真の力を引き出すためには、そのプラットフォームを構成する個々の「部品」である多種多様なサービス群について、基本的な理解を深めることが不可欠です。AWSにはコンピューティング、ストレージ、データベースから、機械学習、IoT、セキュリティに至るまで、数百にも及ぶサービスが存在します2。これらのサービスは、それぞれが特定の機能や特性を持っており、それらを適切に組み合わせることで、初めて目的とするシステムを効果的に構築することが可能になります。

「AWS構築」とは、いわばこれらの豊富な部品を使って、オーダーメイドの機械を設計し組み立てるようなものです。部品の種類や特性を知らなければ、最適な設計はできませんし、意図した通りに動作させることも難しいでしょう。どのサービスがどのような課題解決に適しているのか、各サービスがどのように連携するのか、そしてそれらを支えるAWSのグローバルな基盤はどのようになっているのか。これらの知識は、AWS上で堅牢かつ効率的なシステムを設計し、運用していく上での羅針盤となります。

本第2回では、AWS構築のまさに「基盤」となるAWSのエコシステム、特にそのグローバルインフラストラクチャと、システム構築において中心的な役割を果たす主要なサービスカテゴリについて詳しく解説していきます。この広大なサービス群の全体像を掴むことで、今後のシステム設計における選択肢が広がり、より具体的かつ効果的な「AWS構築」を進めるための土台が築かれるはずです。それでは、AWSの世界を支えるインフラと、そこで提供される多彩なサービスの世界へ足を踏み入れていきましょう。


AWS構築のためのAWSエコシステム理解

AWS上で効果的なシステム構築(「AWS構築」)を行うためには、その基盤となるAWSエコシステムの構造と主要なサービス群を理解することが不可欠です。AWSは、広大なグローバルインフラストラクチャと、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキング、セキュリティなど、多岐にわたるサービスカテゴリを提供しており、これらを組み合わせることで複雑なシステム要件にも対応可能となります5

2.1. AWSグローバルインフラストラクチャの概要:リージョンとAZ

AWSのグローバルインフラストラクチャは、世界中に分散配置された「リージョン (Region)」と、各リージョン内に存在する複数の独立したデータセンター群である「アベイラビリティゾーン (Availability Zone, AZ)」によって構成されています。この地理的に分散されたインフラストラクチャは、高可用性、耐障害性、そして低遅延なサービス提供を実現するための基盤となります。

  • リージョン (Region):
    リージョンは、AWSがデータセンターを設置している独立した地理的エリアです。例えば、「東京リージョン」「バージニア北部リージョン」「フランクフルトリージョン」などがあります。各リージョンは他のリージョンから完全に分離・独立して設計されており、特定のリージョンで発生した障害が他のリージョンに波及することはありません。これにより、システムを特定の地域に配置したり、複数のリージョンに分散させたりすることが可能です。
    AWS構築においては、アプリケーションの要件(例えば、エンドユーザーへのレイテンシ、データ主権やコンプライアンス要件、利用したいサービスの種類、コストなど)に応じて最適なリージョンを選択することが重要です。
  • アベイラビリティゾーン (Availability Zone, AZ):
    アベイラビリティゾーンは、1つのAWSリージョン内に存在する、1つ以上の物理的に分離されたデータセンターから構成されます。各AZは、独立した電源、冷却、ネットワークを備えており、互いに数キロメートルから数十キロメートル離れた場所に設置されています。これにより、火災、洪水、停電といった単一データセンターの障害が、同じリージョン内の他のAZに影響を及ぼすリスクを最小限に抑えています。
    多くのリージョンでは3つ以上のAZが提供されており、AWS構築においては、アプリケーションやデータベースを複数のAZに分散配置することで、単一障害点(Single Point of Failure, SPOF)のない堅牢なシステムを設計することが強く推奨されます。例えば、主要なデータベースを1つのAZで稼働させつつ、別のAZに同期レプリカを配置する(マルチAZ構成)ことで、プライマリAZに障害が発生した場合でも、自動的にセカンダリAZにフェイルオーバーし、サービスの継続性を高めることができます。

このリージョンとAZの概念を理解し、適切に活用することは、AWS上で信頼性と可用性の高いシステムを構築するための基本中の基本です。例えば、災害対策(DR)として、主要な本番環境をあるリージョンに構築し、そのバックアップやフェイルオーバー用の環境を地理的に離れた別のリージョンに構築することも、このグローバルインフラストラクチャによって可能になります。


2.2. 「AWS構築」に関連する主要サービスカテゴリ

AWSは数百に及ぶサービスを提供していますが2、「AWS構築」において特に重要となる主要なサービスカテゴリは以下の通りです5。これらのカテゴリと、それぞれの代表的なサービスを理解することで、システム設計の選択肢が格段に広がります。

2.2.1. コンピューティング 🖥️

コンピューティングサービスは、アプリケーションを実行するための仮想サーバーやコンテナ実行環境、サーバーレスコンピューティング環境を提供します。これらはAWS構築における「エンジン」とも言える部分です。

  • Amazon EC2 (Elastic Compute Cloud):
    最も基本的な仮想サーバーサービスであり、LinuxやWindowsなど様々なOSのインスタンスを数分で起動できます6。EC2の大きな特徴は、その「Elastic(伸縮自在な)」という名の通り、必要に応じてリソース(CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク性能)を柔軟に変更できる点です。インスタンスタイプ(CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク性能の組み合わせ)が豊富に用意されており、ウェブサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバー、機械学習ワークロードなど、様々なワークロードの特性に合わせて自由に選択・変更が可能です7。また、サーバーの複製も容易で、システムの冗長化や負荷分散に貢献します7。Auto Scaling機能と組み合わせることで、負荷に応じてインスタンス数を自動的に増減させることも可能です。
  • AWS Lambda:
    サーバーのプロビジョニングや管理を一切意識することなくコードを実行できるサーバーレスコンピューティングサービスです7。何らかのイベント(例:S3へのファイルアップロード、API Gatewayへのリクエスト、DynamoDBのデータ変更など)をトリガーとしてコード(Lambda関数)が実行され、コードが実行された時間(ミリ秒単位)とリクエスト数のみに対して課金されるため、特にイベント駆動型で処理量が変動するようなワークロードにおいて高いコスト効率を実現できます7。インフラ管理の手間を大幅に削減できるため、開発者はビジネスロジックの実装に集中できます。
  • Amazon ECS (Elastic Container Service) / EKS (Elastic Kubernetes Service):
    Dockerコンテナのデプロイ、管理、スケーリングを容易にするコンテナオーケストレーションサービスです6
    • ECSはAWS独自のシンプルで強力なコンテナ管理サービスです。AWSの他のサービス(IAM、VPC、ELBなど)との統合が緊密で、AWS環境でコンテナを運用する際にスムーズに導入できます。
    • EKSはオープンソースのKubernetesをAWS上でマネージドサービスとして提供します。既にKubernetesを利用している場合や、特定のKubernetesエコシステムのツールを利用したい場合に適しています。
    これらのサービスを利用することで、マイクロサービスアーキテクチャの構築や、アプリケーションのポータビリティ向上、開発・運用効率の改善が期待できます。
  • Amazon Lightsail:
    仮想プライベートサーバー(VPS)を月額固定料金で簡単に起動・管理できるサービスです。シンプルなウェブサイト、ブログ(WordPressなど)、小規模なウェブアプリケーション、開発・テスト環境向けに、コンピューティング、ストレージ、ネットワーキングがパッケージ化されています2。AWSの他の高度なサービスに詳しくなくても、手軽にクラウドを始めたい個人開発者や小規模ビジネスに適しています。

2.2.2. ストレージ 💾

ストレージサービスは、データの保存、バックアップ、アーカイブなど、多様なニーズに対応するサービス群です。データの種類やアクセス頻度、耐久性の要件に応じて最適なサービスを選択することが重要です。

  • Amazon S3 (Simple Storage Service):
    高い耐久性(99.999999999%、イレブンナインの設計)とスケーラビリティを持つオブジェクトストレージサービスです7。ウェブサイトの静的コンテンツ(画像、CSS、JavaScriptなど)配信、アプリケーションデータの保存、バックアップデータの保管、データレイクの構築、ビッグデータ分析のデータソースなど、非常に幅広い用途で利用されます2。事実上、容量無制限でデータを格納でき7、データのライフサイクル管理機能やバージョニング機能も備えています。様々なストレージクラスが用意されており、アクセス頻度やコスト要件に応じて最適なクラスを選択できます。
  • Amazon EBS (Elastic Block Store):
    Amazon EC2インスタンス向けの永続的なブロックストレージボリュームです。EC2インスタンスのOSの起動ディスクや、データベースストレージ、高いパフォーマンスが求められるアプリケーションのデータストレージとして利用されます。スナップショット機能により、ボリュームのバックアップをS3に簡単に保存できます。SSDベースの高速なボリュームや、HDDベースの低コストなボリュームなど、複数のタイプが提供されています。
  • Amazon Glacier / Glacier Deep Archive:
    長期保存やアーカイブ向けの低コストなストレージサービスです。アクセス頻度は低いものの、長期間安全に保管する必要があるデータ(コンプライアンス記録、医療記録、メディアアーカイブなど)に適しています。S3よりもさらに低価格でデータ保管が可能ですが、データの取り出しには数分から数時間(Glacier Deep Archiveでは最大12時間)かかる場合があります。S3のライフサイクルポリシーと組み合わせることで、アクセスされなくなったデータを自動的にこれらの低コストなアーカイブストレージに移行することができます。

2.2.3. データベース 🗄️

AWSは、リレーショナルデータベースとNoSQLデータベースの両方に対応した、スケーラブルで信頼性の高いマネージドデータベースサービスを提供しています。これにより、データベースのセットアップ、パッチ適用、バックアップといった運用タスクの多くをAWSに任せることができます。

  • Amazon RDS (Relational Database Service):
    MySQL, PostgreSQL, Oracle, SQL Server, MariaDBといった主要なリレーショナルデータベースエンジンをマネージドで提供するサービスです2。データベースソフトウェアのインストールやパッチ適用、バックアップ、リードレプリカの作成、フェイルオーバーといった運用タスクを自動化し、管理負担を大幅に軽減します7。マルチAZ配置により、データベースの可用性を容易に高めることができます7
  • Amazon DynamoDB:
    高速かつスケーラブルなフルマネージドNoSQLデータベースサービスです。キーバリュー型およびドキュメント型データモデルをサポートしており、ミリ秒単位のレイテンシで一貫したパフォーマンスを提供します8。スケーラビリティに優れており、トラフィックの増減に応じて自動的にストレージ容量やスループットキャパシティを調整できます。ウェブアプリケーションのセッション管理、モバイルアプリのユーザーデータ保存、ゲームのリーダーボードなど、高いスループットと低レイテンシが求められるサーバーレスアプリケーションとの親和性が非常に高いです。
  • Amazon Aurora:
    MySQLおよびPostgreSQLと互換性のある、AWSがクラウド向けに独自に設計・開発した高性能リレーショナルデータベースです。標準的なMySQLと比較して最大5倍、標準的なPostgreSQLと比較して最大3倍のスループットを実現するとされています。商用データベースのパフォーマンスと可用性を、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率で提供することを目指しています。ストレージは自動的に最大128TBまで拡張され、高い耐久性と耐障害性を備えています。

2.2.4. ネットワークとコンテンツ配信 🌐

分離されたプライベートネットワーク環境の構築や、グローバルなコンテンツ配信を支援するサービス群です。安全で高性能なアプリケーション提供の基盤となります。

  • Amazon VPC (Virtual Private Cloud):
    AWSクラウド内に論理的に分離されたプライベートネットワーク空間を作成できるサービスです4。ユーザーは、自身の仮想ネットワークのIPアドレス範囲、サブネット(パブリックサブネット、プライベートサブネット)、ルートテーブル、ネットワークゲートウェイ(インターネットゲートウェイ、NATゲートウェイなど)などを自由に設計・設定できます。これにより、オンプレミス環境と同様のネットワーク構成をクラウド上で再現し、リソースを安全に配置することができます。
  • Amazon Route 53:
    スケーラブルで可用性の高いドメインネームシステム(DNS)ウェブサービスです6。ドメイン名の登録、DNSレコードの管理(Aレコード、CNAMEレコードなど)、そしてドメイン名とIPアドレスを紐付けるDNSルーティング機能を提供します。また、リソースのヘルスチェックを行い、異常を検知した場合にはトラフィックを正常なリソースに自動的に振り向けるフェイルオーバールーティングも可能です。
  • Amazon CloudFront:
    グローバルなコンテンツ配信ネットワーク(CDN)サービスです6。ウェブサイトの静的コンテンツ(画像、動画、CSS、JavaScriptなど)や動的コンテンツを、世界中に分散配置されたエッジロケーション(キャッシュサーバー)にキャッシュし、エンドユーザーに最も近い場所から配信することで、コンテンツの表示速度を向上させ、オリジンサーバーの負荷を軽減します。DDoS攻撃からの保護機能も備えています。
  • Elastic Load Balancing (ELB):
    アプリケーションへのトラフィックを、複数のEC2インスタンスやコンテナ、IPアドレスなどに自動的に分散するロードバランシングサービスです。これにより、アプリケーションの可用性と耐障害性を高め、トラフィックの増減に応じたスケーリングを支援します。ELBには、HTTP/HTTPSトラフィック向けのApplication Load Balancer (ALB)、TCP/UDP/TLSトラフィック向けのNetwork Load Balancer (NLB)、サードパーティ仮想アプライアンス向けのGateway Load Balancer (GWLB)などの種類があり、ワークロードの特性に応じて選択します。

2.2.5. セキュリティ、アイデンティティ、コンプライアンス 🛡️

AWS環境とリソースを保護し、アクセス管理を行い、コンプライアンス要件を満たすためのサービス群です。クラウドセキュリティはAWSとユーザーの共同責任であり、これらのサービスを適切に活用することが不可欠です。

  • AWS IAM (Identity and Access Management):
    AWSリソースへのアクセスを安全に制御するための中心的なサービスです。ユーザー、グループ、ロールを作成し、それぞれにきめ細かいアクセス許可(ポリシー)を付与することで、「最小権限の原則」を適用できます9。多要素認証(MFA)をサポートし、セキュリティを強化します。EC2インスタンスやLambda関数などのAWSサービスが他のAWSサービスにアクセスする際にもIAMロールが利用されます。
  • AWS Security Hub:
    AWS環境全体のセキュリティアラートやコンプライアンス状況を一元的に集約・管理するサービスです。GuardDuty、Inspector、MacieなどのAWSセキュリティサービスや、サードパーティのセキュリティ製品からの検出結果を統合し、優先順位付けされたビューを提供します。セキュリティ体制の継続的な監視と改善に役立ちます。
  • Amazon GuardDuty:
    機械学習を利用して、AWSアカウントとワークロードに対する悪意のあるアクティビティや不正な動作を継続的に監視・検出する脅威検出サービスです10。VPCフローログ、CloudTrailイベントログ、DNSログなどを分析し、ポートスキャン、インスタンスへの不正アクセス試行、マルウェア感染の兆候などを検知します。
  • AWS WAF (Web Application Firewall):
    一般的なウェブエクスプロイト(SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングなど)からウェブアプリケーションを保護するファイアウォールサービスです。CloudFront、Application Load Balancer、API Gatewayと連携し、定義したルールに基づいて悪意のあるトラフィックをブロックします。

2.2.6. 管理とガバナンス 🛠️

AWSリソースのプロビジョニング、設定、監視、運用を支援し、組織のガバナンスポリシーを適用するためのサービス群です。効率的で統制の取れたクラウド運用を実現します。

  • Amazon CloudWatch:
    AWSリソースとアプリケーションの包括的なモニタリングサービスです7。CPU使用率、ディスクI/O、ネットワークトラフィックといったメトリクスを収集・監視し、ログファイル(CloudWatch Logs)を収集・分析し、特定の閾値を超えた場合にアラートを発報(CloudWatch Alarms)する機能を提供します。また、イベントを検知して他のAWSサービスのアクションをトリガーする(CloudWatch Events、現Amazon EventBridge)ことも可能です7。システムの健全性とパフォーマンスを維持するために不可欠なサービスです。
  • AWS CloudFormation:
    インフラストラクチャをコードとして定義し、自動的にプロビジョニング・管理できるサービス(IaC: Infrastructure as Code)です7。JSONまたはYAML形式のテンプレートファイルに、作成したいAWSリソース(EC2インスタンス、S3バケット、VPCなど)とその設定を記述することで、リソースの作成、更新、削除を一貫して、再現性高く行うことができます。手作業によるミスを減らし、環境構築の時間を大幅に短縮します。
  • AWS Systems Manager:
    AWSリソースの運用上のインサイトを取得し、アクションを実行するための一元的なユーザーインターフェースを提供します。パッチ管理、設定管理、ソフトウェアインベントリの収集、自動化ドキュメントの実行などの機能を通じて、大規模なAWS環境の運用管理を効率化します。
  • AWS Trusted Advisor:
    AWS環境をスキャンし、コスト最適化、パフォーマンス、セキュリティ、耐障害性、サービスの制限に関するAWSのベストプラクティスに基づいた推奨事項を提供します7。潜在的な問題点を早期に発見し、環境を改善するための具体的なアドバイスを得ることができます。

AWSの真価は、これらの個々のサービスが強力であること以上に、それらが相互に連携し、組み合わせることでより高度で複雑なシステムを構築できる点にあります。例えば、Amazon S3にアップロードされた画像をトリガーにAWS Lambda関数を実行して画像処理を行い、その結果をAmazon DynamoDBに保存し、処理結果をAmazon API Gateway経由でフロントエンドアプリケーションに返す、といった一連の処理フローを、各サービスの特性を活かして効率的に構築できます。このようなサービスの「組み合わせ可能性」は、従来のモノリシックなシステム構築では難しかった柔軟性と拡張性をもたらし、ビジネスニーズの変化に迅速に対応できるアジャイルなシステム開発を可能にするのです。この組み合わせの妙を理解し、活用することが、AWS構築を成功させる鍵となります。


まとめ:主要サービスを理解し、システム設計の引き出しを増やす

本第2回では、AWS構築の土台となるAWSのグローバルインフラストラクチャ(リージョンとアベイラビリティゾーン)の概要と、システム構築において頻繁に利用される主要なサービスカテゴリ(コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーク、セキュリティ、管理とガバナンス)及びその代表的なサービスについて解説しました。

AWSが世界中に展開する堅牢なインフラは、私たちが構築するシステムの可用性と信頼性を支える物理的な基盤です。そして、その上で提供される数百ものサービスは、まるでレゴブロックのように、私たちのアイデアを形にするための多彩な「部品」と言えます。EC2やLambdaのようなコンピューティングサービスで処理能力を確保し、S3やEBSでデータを安全に保管し、RDSやDynamoDBで情報を効率的に管理する。VPCでセキュアなネットワークを構築し、IAMでアクセスを制御し、CloudWatchでシステムを監視する。これらのサービスを理解することは、AWSという広大な道具箱の中から、目の前の課題解決に最適な道具を選び出す能力を養うことに他なりません。

もちろん、今回ご紹介したサービスはAWSが提供するもののほんの一部に過ぎませんし、各サービスも非常に奥深い機能を持っています。しかし、これらの主要なサービスカテゴリとその役割を把握することで、システム全体のアーキテクチャを考える際の「引き出し」が格段に増え、より具体的で効果的な設計が可能になるはずです。

AWS構築の旅は、これらのサービスという名の道具を一つ一つ手に取り、その使い方を学び、そして実際に使ってみることで深まっていきます。

次回、第3回は「AWS構築の実践ステップ~計画から運用までのライフサイクル詳解~」と題し、実際にAWS上でシステムを構築していく際の具体的なプロセス、つまり計画から設計、実装、テスト、そして運用に至るまでの各フェーズで何をすべきかについて詳しく解説していきます。今回学んだサービス知識が、そこでどのように活かされていくのか、ぜひご期待ください。